DAISO ART MUSEUM

坂の上の家

その土地は、坂下にある家並みと三滝川の並木、その向こうにある鈴鹿山脈を一望できる場所にありました。山脈があることによって、目まぐるしく変わる空の色や雲の形。ダイナミックな空模様の変化が、市街地にあるはずのこの場所から感じとれる。この家は、そんな自然の雄大さや自然と共にあることを、日々の暮らしで実感できることを目指して創られました。そのコンセプトが最も反映されているのが、長さ16mにおよぶ大きな「出窓」。眺望が開ける南西から北西方向に渡って、水平に長く連続した構造をしており、家の中にいながら雄大な自然を感じとることができます。ただ、これだけ長い連窓にするためには、途中に柱を必要としない構造設計が必須。コンクリートは引張力に弱いため、スパンの長いこの出窓は中間部分のたわみを抑える必要があります。そこに対して、あらかじめコンクリートに圧縮力を加えておき引張力を制御するポストテンション梁を使用。16mという長く美しい出窓が作られた背景には、確かな施工技術があります。

坂の上の家

所在地:三重県四日市市
敷地面積:300.58㎡
建築面積:156.28㎡
延床面積:191.80㎡
構造・階数:RC造 地下1階 地上1階建
最高高さ:4,893mm(平均地盤面より)
竣工:2012年10月
受賞:第32回三重県建築賞住宅部門 知事賞
  • Creative Direction: 大宗建設株式会社
  • Design:鈴木貴紀
  • Construction:中西智大(大宗建設株式会社)