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ベテラン監督インタビュー Y邸 新築工事

図面

難しかった点は、どこですか?

今回の案件で難しかった点は、2つです。1つめは立地条件です。奥行きのある縦長の土地に、隣地境界いっぱいまでの建物を建てるというオーダーでした。また、津駅から徒歩5分の立地で、車も人も多く通るため、施工ヤードの確保に苦労しました。工事をするためには、大型トラックやクレーン車やコンクリートミキサー車などの車両を使いますし、職人さんたちの車を駐める場所も必要です。現場近くにそういう場所や駐車場がなかったため、周辺の地主さんに1軒1軒ご理解とご協力をいただいたり、近くの不動産会社を回ったりしながら、現場近くで事務所を設ける場所や駐車場を確保できるように探し回りました。運良く近くに廃業した八百屋さんがあったので、その空き家を事務所として使わせていただいたり、近くの企業様には工事期間中は別の駐車場に移動してもらえるようにお願いに行きまして、事務所と施工ヤードを確保しました。また、大型車両や重機を使用するために警察署に行って、道路使用許可をもらいました。道路使用許可の有効期間は1週間なので、毎週のように警察に通いましたよ(笑)。こうした事前の準備に最も神経を使いました。

コンクリート化粧打放し仕上のユニークな外観ですね

そこが2つめの難しかった点です。今回、施主様の息子様が建築にとても関心をお持ちで、様々な本を見た中で気に入った設計士さんに設計を依頼していました。なので、非常にデザイン及びディテールに重点を置いた案件でした。外も中もコンクリートの化粧打放し仕上のため、仕上がり精度が求められましたのでコンクリートを流す型枠は、通常は1〜2回は転用するのですが、今回はすべて新品を使いました。もちろん、型枠大工さんの技術が求められるので、コンクリート化粧打放し仕上の高い技術を持った職人さんに依頼しました。

そして、こうしたコンクリート化粧打放し仕上は外装や外構に使うことが多いのですが、今回は内部の多くの場所にも同様の仕上がりが設計に盛り込まれておりました。通常なら、コンセントや照明スイッチの位置、内部建具の寸法や家具の形状及び寸法などは内装工事時にお客様に最終確認をしますが、コンクリートの化粧打放し仕上となっていましたので、躯体工事時にその最終確認をする必要がありました。デザインのこだわり、施主様の意向や使いやすさ、メンテナンスのしやすさなどを私が理解した上で調和を取り、施主様に長所と短所をしっかり説明し、納得していただきながら工事を進めていきました。

コンクリート化粧打放し仕上は手間がかかるのですね?

例えば、鉄筋が密集している場所に電気の配管やスイッチボックスを集中して配置すると、コンクリートがうまく流れません。また、鉄筋を結束した針金の端(ひげ)が型枠にあたると、そこから錆が出たり、将来のひび割れの原因になります。ですから、通常はそこまで検査をしないのですが、結束線の位置や向き、電気配管一本一本の通るルートすべて検査をしました。このように、「施工基準をクリアしていればいい」ではなく、最高水準になるように細かくチェックをしました。

また、コンクリートのパネル割りをできる限り均一にしたり、コンクリートをつなぐ目地の位置に気を配り、将来ひび割れを起こしたり、雨水が漏れないように細心の注意を払いました。そして、こうした考えを型枠や配筋、コンクリート打設、仕上げといったこの仕事に関わるすべての職人さんたちにしっかり説明して理解してもらうように努めました。大変な作業で、手間も時間もかかります。でも、建物というのは正直で、手間暇をかけたらかけた分だけ、形になって出てきます。そういう意味では、大変ですがやりがいのある仕事だと思っています。

お客様から「誠意を感じた」と評価していただきましたね?

完成後にいただいた「お客様アンケート」に「『誠意』を工事を通じてすごく感じました。特に現場監督の遠藤様には大変お世話になり、安心してお任せすることができました」と書いていただき、たいへん嬉しく思いました。当社の社訓は「誠実・堅実・技術」で、これは私がお客様の立場になった時に一番求めているものなので、この言葉を常に意識しながら仕事に取り組んでいたことを評価していただいたのだと思います。

設計者さんや施主様はデザインやインパクトなどに重点を置かれる傾向があります。しかし、施主様は建てた後もその建物で長い間生活をするのですから、できる限り将来問題が発生しないこと、メンテナンスフリーになることを優先して考えます。それが利便性の良さやランニングコスト低減につながり、結果としてお客様のためになることですが、まだ住まわれていない施主様にとってはわかりづらいことです。だから、「こうしたい」と言うことが、「施工がしやすいようにしているだけではないの?」と思われがちです。そこで、私は長所も短所も正直に言うように心がけていました。「なぜこうするかといえば、デザイン性は下がりますが、こうすることでクラックが入りにくく、漏水しにくくなり、安心して長く使えます」と正直に、そして情熱を込めてお話すれば、施主様に理解していただけると思っています。今回は特に、施主様の息子さんが建築に興味をお持ちだったおかげで、私の説明を理解していただけたと思います。

キレイな現場だったそうですね?

最初にも書いたように、施工ヤードが狭かったので、余分な資材や道具などを置かないようにしていました。また、現場が汚れていたり、仕事が雑で汚いと、作業をする職人さんたちが「こんな程度でいいんだ」と思ってしまいます。キレイな現場で、しっかり管理されていると、職人さんたちも「他の人に負けないように頑張ろう」と、いい仕事をしてくれます。そうなれば工事が安全に進みますし、工程も遅れません。手直しもなく、直しの費用が必要なくなって、予算内に収まると、いいことだらけです。常に現場をキレイにしておくことが、いい仕事をする基本だと私は思っています。

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