現場レポート

市立四日市病院 増設工事

図面

担当した物件を教えてください。

市立四日市病院で、透析室、X線・内視鏡室、化学療法室の3つの施設の改修工事を行いました。この工事では、まず入院施設だった場所に透析室を造り、それまで使っていた透析室の設備を移動させ、そこにX線・内視鏡室を造り、それが完成して設備を移動させたら、そこに化学療法室を造るという3つのステップで工事を進めていきました。

大変だったのは、どんな点でしたか?

改修工事のため、病院は通常通りに診療をしていますから、患者さんやお見舞いの方が大勢いらっしゃいます。こういう方たちに迷惑をかけてはいけませんし、電気や水、ガスなどを止めるわけにはいきません。だから、事前の調査(情報収集)と、計画(段取り)をしっかり行うことを心がけました。私はこれまでに病院の改修工事を何件も経験していましたから、事前の調査と計画がしっかりできれば、工事の大半は上手くいくものだと思っています。

また、病院の工事で最も問題になるのが、音と振動です。できる限り音や振動が発生しないように心がけますが、どうしても避けられないような大きな工事は、病院がお休みになる土曜や日曜にするように工程を組みました。

病院ならではの苦労はありましたか?

X線・内視鏡室は、X線が外部に漏れないように鉛の板で囲みます。既設床の構造は図面を取り寄せて確認すると、コンクリートの上にモルタルを塗る構造になっていましたので、モルタルを剥がしてその上に鉛の板を張る予定にしていたのですが、床材を剥がしてみるとモルタルがありません。そこで工事を一旦ストップして、専門業者に現状のコンクリートの厚さでX線が漏れることを防げるかどうかの検査を行い、X線が下の階に漏れないことを確認した上で、既存コンクリートの上に床仕上げを行うことにしました。このように、増設工事では現場で工事を始めないとわからないことや、事前に予想できなかった事態が発生するので、臨機応変に対応することが求められます。

また、工事を発注するのは自治体であり、窓口となるのは病院の担当者ですが、実際に工事を進めていく上では、その施設を使う人たちの意見を取り入れないといけません。「手洗いの設備はここに付けて欲しい」といったご要望を、工事前にしっかり聞くようにしていました。

他にも困ったことがありましたか?

病院には様々な診療機械が入っていますので、電気設備工事や機械設備工事のウエイトが高くなっているのが特徴です。一般の工事では建築工事と電気設備や機械設備工事を別々に発注するケースが多いのですが、今回は改修工事であり、建築工事も電気設備工事・機械設備工事も当社が請け負って、私たちが全ての工事の管理を行うことになりました。だから、現場監督の私にも、電気設備工事や機械設備工事の知識が必要になってきます。幸い過去に病院の増設工事の経験があり、基本的な知識を持っていたので、大きな問題は生じませんでしたが、いい緊張感がありましたね。(笑)。

順調に工事が進み、X線・内視鏡室の工事が完了して、設備を移そうと思ったら、病院手配の診療機械の発注が遅れており、3期工事のスタートが1ヵ月遅れてしまいました。そこで、もう一度計画を練り直し、病院側と様々な折衝を行い全面的な協力を取り付けることで、最初に決めていた納期を守ることができました。別の棟と通路をつなぐ工事の計画もあったのですが、最終的に工事をしないことに決定したのも、納期を短縮することに貢献しました。

四日市優良建設工事の表彰を受けたそうですね。

この工事で特別なことをしたわけではなく、当たり前のことを当たり前にしただけです。そして、決められたことはしっかりクリアして、そこにいかにプラスしていくかを常に考えて、工事を進めていきました。とはいえ、前述のように最初の計画通りにはいかないのが、建築工事です。だからこそ、担当者としっかり打ち合わせをして、トラブルが発生したり、工期が遅れたりしないように細心の注意を払いました。事故やトラブルは一件もなく、病院の運営に影響がなかったことも評価されたのでしょうね。

仕事に取り組む時に心がけていることはありますか?

公共の工事は書類が多いですし、担当者に工事の説明をしたり、工程の打ち合わせをするために様々な書類を事前に作成する必要があります。こうした書類や図面を、相手から求められる前に準備して、「これでどうでしょうか?」と話をスタートさせるように心がけています。こうすることで、こちらのペースで話を進めていくことができます。工事は、準備や段取りが一番大切。事前に情報収集して、しっかり準備をして、きちんと段取りを組めば、仕事がスムーズに進みます。

大宗建設で働く良さは何でしょう。

ある程度経験を積み、知識や技術を身に付ければ、現場を任せてもらえるようになります。もちろん、決められた枠がありますが、他社より大きな権限を与えられているように感じます。その枠の中で、自分で「こうした方がいいんじゃないか」と考えながら、仕事を進めていくことができます。自分で主体的に考えながら仕事を進めていきたい人にとっては、いい会社だと思いますよ。

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